あるとき車を停車してエンジンOFFにした後、再度始動しようとイグニッションスイッチを操作しても、全くの無反応状態に陥った…ということで、修理にてこの度初めてご入庫いただいた、2005yのVWトゥアレグの作業です。
一見、バッテリーあがりか もしくはキー関連の不具合かと疑うような症状ですが、メーターディスプレイにはステアリングロック異常を促すメッセージ…コラムロック動作不具合により始動許可制御が行えないトラブルです。
この症状に対する修理は以前にも他のトゥアレグで行っており、今回はその事例に対するお問い合わせを頂き、修理ご入庫していただきました。（過去事例はこちらをクリック）
電子ロック式のコラムロックアクチュエーターを搭載した車両では、スイッチによるスタート操作時もしくはキー挿入時に、キーの認識判断によって操作音と共にコラムロックを解除します。
このコラムロックアクチュエーターの動作不良が発生したことによりロック解除がされないと、アクセススタートコントロールモジュールは次のステップへの許可を行わないので、エンジンスタートはもちろんキーONモードにもなりません。
トゥアレグのコラムロックアクチュエーターは、ステアリングコラムから単体で外せる構造では無いので、車両よりステアリングコラムAssyを取り外します。
新品の部品はコラムAssyでの供給となってしまうので、かなり高額な部品代となってしまいます。
しかもセキュリティによる制御を行っているアクチュエーターなので、交換した際はコーディング（現車固有化へのプログラム）も必要です。
ということで、今回もユーザー様が持ち込まれた中古コラムAssyを利用して修理する内容でお受けし、作業を進行していきます。
先に述べたとおりセキュリティ制御により固有化されたアクチュエーターは、もちろん他車で使用された（他車でプログラムされた）部品はそのままでは使用できません。
動作不良が発生した現車のアクチュエーターから、用意した中古アクチュエーターへデーター移植を行って使用します。
ちなみに現車は、当時世界限定500台しか販売されなかった、W12気筒6リッターを搭載した「W12SPORT」。
その為、ステアリングコラムも電動制御式のオートコラムが搭載されています。
しかし都合よく同じ電動コラム式の中古部品が存在していなく、お客様が持ち込まれたのはV6に搭載されていた手動式コラムAssyのため、データー移植してもコラム自体が違うので付けれません。
しかし使用されているロックアクチュエーター自体は同型のものなので、本来非脱着構造のアクチュエーターを加工分解して取外し、中古アクチュエーターに現車のデーター移植処置を行い、現車のコラムAssyへとドッキング。
データー移植をした後は、現車へ仮組み付けを行って、転送処置が成功しているか動作確認。
無事、現車とマッチングしたプログラムへと変更された中古部品は、ロック作動も正常に行いエンジンも始動復活。
全ての組み付けも終了して、他の制御に不具合が発生していないか確認して、無事作業完了。
たまたま同年代のポルシェカイエンも別内容修理でお預かりしているので、ツーショット撮影…ポルシェと共同開発されたトゥアレグは、カイエンとの姉妹車です。
UG/yoshida
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